No7.魔法のラビリンス(Das Magische Labyrinth)
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はじめに


 Drei Magier(ドライマギア)はコンポーネント、というかギミックが魅力的なボードゲームを数多く販売しているメーカーです。そんなドライマギアの代表作と言えるのが、2009年にキッズゲーム大賞を受賞した『魔法のラビリンス』になります。普段ゲームをしない伯父もそのギミックに興味津々で、「あーこうなってるんだ」と実際に触りながら感心していました。そんな『魔法のラビリンス』について今回はレビューしていきたいと思います。

このボードゲームのデータ(クリックすると開きます)
原題 独:Das Magische Labyrinth
米:The Magic Labyrinth
日:魔法のラビリンス
デザイナー Dirk Baumann
(ディルク・バウマン)
メーカー Drei Magier Spiele
(ドライマギア
, 独)
日本語版発売元 メビウスゲームズ
発売年 原版:2009年
日本語版:不明
プレイ人数 2~4人
2人プレイ 通常プレイと変わらず
公称プレイ時間 25分
対象年齢 6歳以上
定価 原版:32.99ユーロ(VAT除外前)
日本語版:6000円
購入価格 12.61ユーロ(VAT除外後、送料別)
2019年10月、独Amazonにて
言語依存 なし
相互干渉
(インタラクション)
あり(道の妨害、タイルの取り合い)
非公開情報 なし
ルールブック 6ページ
ルール難度 簡単
個人的評価 7点(10点満点)

1.ルール概要


 『魔法のラビリンス』は、見えない壁にぶつからないように移動して、迷宮の中の魔法のシンボルを獲得するゲームです。ゲームの進め方ですが、各プレイヤーは手番毎にダイスを振り、出た目の分だけ自分の魔術師駒を動かしていくことを繰り返していきます。以下、魔術師駒の移動、シンボルの獲得、迷路の作成の詳細について述べていきたいと思います。
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(魔術師駒の下には磁石がセットしてあり、鉄球をくっつけることが出来ます。)
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(魔術師駒を迷宮の四隅に配置し、迷宮ボードの下から駒の下に、つまりボードを挟んだ状態で鉄球を磁力でくっつけた状態でゲームは始まります。)
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(迷宮ボードの下には地下迷宮のボードが敷いてあり、ここに壁がセットしてあります。この壁の配置は自由に変更してよく、付属の24枚の壁全てを使う必要もありません。使わなかった壁は別のところに置いておきます。)
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(布袋から1枚のシンボルタイルを取り、それと同じシンボルが描かれた迷宮ボードのマスにそのタイルを配置します。各プレイヤーは移動してこのタイルの獲得を目指します。)

 a)魔術師駒の移動
 魔術師駒はダイスの目だけ移動出来ますが、移動は縦と横のみで、斜めに移動することは出来ません。魔術師駒を移動させた際に、地下迷宮の壁にぶつかると鉄球が外れてしまいますが、鉄球が外れたプレイヤーは魔術師駒を最初にスタートした位置に戻さなければなりません。まだ歩数が残っていても、スタートに戻った時点で移動は終了です。ダイスの目だけ進むかスタートに戻されると次のプレイヤーの手番になります。
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(移動に使うダイスは1,2,2,3,3,4の目になっている特殊ダイスです。出た目が3であれば、3以下である1マスや2マスで移動を終えても構いません。)
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(鉄球が外れないように、魔術師駒はボードから浮かさないように移動させます。その際に他の魔術師駒がいるマスを通過することは可能ですが、他の魔術師駒と同じマスで移動を終えることは出来ません。)
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(移動した魔術師駒が地下迷宮の壁にぶつかってしまうと、鉄球が魔術師駒から外れる「ゴトッ」という音がして、四隅のいずれかの位置に鉄球が転がっていくようになっています。)

 b)シンボルの獲得
 迷宮に配置されたシンボルタイルのマスに魔術師駒が移動すると、そのシンボルを獲得することが出来ます。獲得したプレイヤーは新たなシンボルを布袋から1枚引き、それを迷宮に配置します。
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(シンボルを獲得した魔術師駒は、ダイスで出た目の途中であったとしても、そこで移動を終了します)
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(新たに布袋から引かれたシンボルと同じシンボルのマスに既に他の魔術師駒が存在していた場合、そのシンボルはそこに居た魔術師駒のプレイヤーが獲得します。そして、それを獲得したプレイヤーが布袋から新たにシンボルタイルを引いて迷宮に配置します。)

 c)迷路の作成
 ゲームを始める前の準備についてですが、地下迷宮ボードに木製の壁を差し込んで見えない壁の迷宮を作っておきます。説明書には簡単な迷路と難しい迷路の2つの作り方が紹介されていますが、これに従わず、自分の思うままに作成しても構いません。壁を使う枚数も自由です。自作する際は、迷路として成り立つように、入れない場所を作らないようにしなければなりません。
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(この写真のように囲まれた部分があると、その部分のシンボルを取れなくなってしまいます。全てのシンボルを全てのプレイヤーが取れるように迷路は作りましょう。)

 d)勝利条件
 5つのシンボルタイルを集めたプレイヤーが勝利します。

2.手番の行動まとめ

 ①:魔術師駒の移動(必須)
 ダイスを振り、出た目の分だけ(それ以下でも可)移動します。移動して地下迷宮の壁に当たった場合、魔術師駒を開始位置に戻します。移動してシンボルを獲得した場合、そのマスで移動を終了し、新たなシンボルを布袋から1枚引いて迷宮に配置します。

 この手番のまとめを見て分かるように、やることはダイスを振って駒を進めるだけなので、ルールは簡単です。大人であれば戸惑うことはありません。ちなみに、他の魔術師駒がいるマスを通過出来るのか、出た目よりも小さい目で移動を終えることが出来るのかについては説明書に記載がないように思いますが、ゆかいなさかなさんの動画ではどちらも出来ることとして紹介されているので、このブログでも出来ることとして説明しています。
 
3.プレイ人数による違い

 2,3,4人全てでプレイしてみましたが、人数によりルールが変わることはなく、どの人数でも楽しくプレイ出来ると私は思います。一応プレイ人数による違いを指摘すると、同一マスに魔術師駒が存在出来ないというルールにより、プレイ人数が多い方がタイルの前が混雑してしまい、進みたくても進めない駒が出てきてしまうということが挙げられます。回り道をしたくても壁に囲まれた場所だと、後ろで待っておく他ありません。後は、人数が多い方が、新しいタイルが誰かの近くに配置される可能性が高くなるので、タイルの入れ替わりが早くなるということも挙げられます。メモリーゲームとしての競技性を考えるなら、少ない人数の方が楽しめるかも知れません。

4.個人的評価:7(10点満点)

 『魔法のラビリンス』の何が楽しいかについてまず述べていきたいと思います。
 第1に、見えない壁にぶつかって鉄球が落下するというギミックが楽しいです。大丈夫かなと思って通ると「ゴトッ」、その音を聞くだけで皆が笑いに包まれます。

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(鉄球が落ちる「ゴトッ」という音は余り大きな音ではありません。しかし、普段補聴器を付けている祖父でもこの音は聞き取れていたので、よほど耳の遠い方でない限りは、高齢の方でもプレイに支障はないと思います)

 第2に、自分の好きなように迷路を作ることが出来ることが楽しいです。私の甥っ子も夢中で迷路を作っていました。迷路として成り立つように作らないといけないので、子供にとっては良い頭の体操になると思います。「それじゃー誰も入れんが」など周りで見ながらわいわい言い合って作るのも楽しいです。『魔法のラビリンス』の特徴としては鉄球ギミックが触れられることが多いように思いますが、私はこの迷路を自作出来るということが一番気に入っています。鉄球や磁石を使うゲームは『カヤナック』や『ヤギのベッポ』などがありますが、迷路、というかコースを自由に作れるゲームは他に余りない気がします。
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(写真だとよく分からないと思いますが、甥っ子に迷路を好きに作らせていたら中央部が少したわんでしまいました。小さい子供が迷路を作ると壁をはめるのに無理に力を込めることがあるので、作業させる場所には注意が必要です。)

 第3に、シンボルを集めるという行為そのものが楽しいです。甥っ子は「ほら、お宝集めたよ、すごいでしょー」と言いながら嬉しそうにプレイしていました。
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(シンボルは紙のタイルで、『ファイアドラゴン』の宝石のように見た目にきれいなものではありませんが、何かを集める、自分の実力でそれを取るということ自体が子供にとっては、大人もですけど、楽しいみたいです。)

 他に『魔法のラビリンス』の良いところとしては、迷路を自由に作れる関係から難易度調整が容易に出来る運の要素が大きいので記憶力に自信がなくても勝つことがある、ということがあると思います。
 では次に、『魔法のラビリンス』の難点を述べていきたいと思います。第1に、これは良い点でもありますけど、運の要素が大きいということが挙げられます。体感的には実力と運が6:4ぐらいでしょうか。どういった運要素があるかというと、駒を進めるためのダイス運シンボルがどこに置かれるかの引き運簡単な場所がスタートになっているかの配置運などがあります。特に大きいと感じるのは引き運で、獲得したシンボルのすぐ近くに連続でシンボルが置かれてしまい、ポンポンポンと取られてゲーム終了になることが時々ありました。まあ、だからこそ、運が良ければ記憶が苦手な人でも勝つ可能性があると言える訳なんですが、個人的にはちょっとなあと思ってしまいます。
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(極端ですが、こんな迷路だと左下のプレイヤーはスタート周辺が大分動きやすくなっています。初期配置で有利不利が出過ぎない迷路の方が平等性は保たれると思います。)

 第2に、これはこのゲームの難点というよりも、自分たちで気をつけた方が良いことですが、プレイヤーの実力に合わない難解な迷路を作ってしまうと、プレイが苦行になるということが挙げられます。用意された壁が24枚あると、ついつい全部使いたくなってしまうもので、甥っ子が全部の壁を使って作った迷路を祖父と私と甥っ子の3人でプレイしてみたことがありました。ですが、難しすぎて全くシンボルが集められず、これは終わらんということで途中終了になってしまいました。
これはかなりの苦行でした。最初にこれをしてしまうとゲームに対する印象が大分悪くなってしまうので、記憶力に相当自信がある場合でなければ、壁は全て使わず、慣れてきたら少しずつ増やしてみるぐらいで丁度良いと思います。個人的にはボコボコ落ちるというよりかはたまに落ちるというぐらいが楽しむのに良い塩梅だと感じています。
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(私も甥っ子も『にわとり』は得意なんですが、『魔法のラビリンス』は苦手、というか上手く覚えられず、ボコボコ鉄球が落ちてしまいます。何だか覚えにくいのです。ボード全てが青いからでしょうか。壁にぶつかって初めてギミックを体感出来るので、覚えにくくて良いのかも知れませんけど。)
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(最近まで、落ちて転がってきた鉄球が取り出しにくいのも難点の1つと感じていましたが、これは手を入れて取るのではなく、魔術師駒を鉄球に近づけてくっ付けるとスムーズに取り出せます。説明書に書いてあるやり方なんですが、ちゃんと読んでいなかったみたいです。)

 同じメモリーゲームということで、どうしてもメモリーゲームの名作『にわとりのしっぽ』と比べてしまうんですが、『にわとり』にない特色は鉄球のギミックと迷路を作れることです。子供は楽しいですし、大人も面白いギミックということで興味を持ちやすいです。普段興味を示さない伯父も「へーこうなってるんだー」と実際にボードを触りギミックを確かめたりしていました。個人的には
『にわとり』と比べて覚えにくいですが、壁にぶつかって初めてギミックを体感出来るので、覚えにくいから面白くないというわけではありません。難しさは迷路を作る時点で調節出来ますし、覚えにくさは運の要素で補われてもいます。
 ただ、面白いとは思いますけど、上述したように運の要素が大きいことにより、私個人としてはプレイ感が軽いというか、少々物足りないと思うゲームです。まあ、この物足りなさというか緩さが、子供と何回もプレイするのにそこまで頭が疲れないことに繋がっているので、悪いばかりではないのですが、結果的に大人だけで何回も真剣勝負をして盛り上がれるゲームではないかなと感じています。キッズゲームとして見れば8点はあると思いますが、個人的な評価としては7点ぐらいかなと思います。

5.『魔法のラビリンス』の入手方法(2020年1月時点)

 日本Amazonでは新品が4980円から売られており、メビウスゲームズの日本語説明書が付属していると明記されています。駿河屋では5000円台後半で売られています。他のボードゲーム専門店の通販サイトでも取り扱いがありますが、大体は定価の6000円で販売しているようです。
 海外から個人輸入する場合、独Amazon、米Amazon共に取り扱いがありますが、私が購入した時点では独Amazonの方が安価でした。ですが、現在は独Amazonが約30ユーロ、米Amazonが約17ユーロと、米Amazonの方が安価になっています。今後も価格は変動していくと思いますので、購入の前に価格を見比べた方が安心だと思います(1ユーロ=125円ぐらいです)。
 言語依存についてですが、文字はなく、全てがイラストで表現されているので、説明書以外に言語の心配はありません。説明書がないとプレイ出来ないようなゲームではないので、説明書が付属していない中古品を買っても特に心配はありませんが、英語やドイツ語の説明書ならメーカー公式HPに公開されていますので、内容が気になる方はそちらを参照されればと思います。

おわりに
 
 ボードゲームの個人輸入を始めた頃、多少形は違えどやることの本質が同じなら、同ジャンルのゲームを複数買う必要はないと思っていました。要するに、『にわとりのしっぽ』を持っていれば、他のメモリーゲームは買わなくて良いのではと考えていたんです。ですが、実際に同ジャンルのゲームを複数プレイしてみると、それぞれに違う味わいがあり、同ジャンルのゲームを買うことは同じ要素を使ってどういう風にそのゲームを仕上げているかを見ることが出来て、寧ろ面白いなと思うようになりました。そう思わせてくれたきっかけがこの『魔法のラビリンス』だったように思います。
 まあ、実際には色々な制約(お金とか収納場所とか)があるので、全てのゲームを体感していけるわけではないのですけど、似てるゲーム性な気がするけど実際どう違うのかということを見ていくのは楽しそうだと思うので、プレイする機会があったら今後のレビューでそういうところにも触れていけたらなと思います。
 



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