No.9 タイニーパーク(Tiny Park)
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はじめに


 私が色々なボードゲームに手を出すきっかけになったのは、図書館から借りてきた『ボードゲームカタログ202』でした。写真が豊富に載っていて、実に楽しそうな雰囲気が伝わってくる良い本です。この本に影響を受けて買いたくなったボードゲームはたくさんあるのですが、その1つが見開き1ページで紹介されていた『タイニーパーク』でした。
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 大分長いこと気になっていたのですが、今年行われたすごろくや周年セールで20%OFFになっており、且つ「絶版」という表記がしてあったので、思い切って購入してみました(去年『リッチモンド貴婦人』を買ったときと同じ理由ですね)。2008年にキッズゲーム大賞準候補となった『ミイラのたからもの』のリメイクということで、準候補に輝いた分の面白さは担保されていると思ったのですけど・・・。プレイした感想は後で良い点、悪い点含めて述べていきたいと思います。

このボードゲームのデータ(クリックすると開きます)
タイトル 独:Tiny Park
米:Tiny Park
日:タイニーパーク
デザイナー Marco Teubner
(マルコ・トイブナー)
アートワーカー Esther Diana
(エスター・ダイアナ)
メーカー HABA
(ハバ, 独)
日本語版発売元 すごろくや
発売年 原版:2017年
日本語版:2017年
プレイ人数 2~4人
2人ルール 通常プレイと変わらず
公称プレイ時間 約10分
対象年齢 6歳以上
定価 原版:14.99$
日本語版:2420円
購入価格 1936円(まとめ買いにより送料無料)
2020年6月、すごろくやにて
言語依存 なし
相互干渉
(インタラクション)
なし
非公開情報 なし
ルールブック 4ページ
ルール難度 少し簡単
受賞歴 2008年独キッズゲーム大賞準候補(リメイク前の『ミイラのたからもの』が。)
個人的評価 4点(10点満点)

1.ルール概要

 『タイニーパーク』はダイスを振ってアトラクションが描かれたタイルを獲得し、遊園地を作り上げていくゲームです。1番早く個人ボードをタイルで埋めることが出来たプレイヤーが勝利します。

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使用するコンポーネントはアトラクションの絵柄が描かれた5つのダイスと、
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アトラクションが描かれたタイル(6種類の形)と、
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タイルを配置する個人ボード(4×5=20マス)の3つです。

ルール詳細(クリックすると開きます)
 自分の手番に行う行動は以下の通りです。
 1.ダイスを振る。(必須)
 2.ダイスを振り直す。(任意)
 3.ダイスの目を確定し、取得するタイルを選択する。(必須)
 4.取得したタイルを個人ボードの好きな場所に配置する。(必須)
 
 1.自分の手番には、1度に5つのダイスを振ります。6種類のタイルの山を確認し、タイルに示されたアトラクションとダイスの絵柄が一致していた場合、そのタイルを取得することが出来ます。
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 上の写真の場合、タコが2つとジェットコースターが1つ出ているので、右のタイルを獲得することが出来ます。

 2.ダイスの絵柄とタイルのアトラクションが一致していなかった場合、ダイスを振り直すことが出来ます。この
振り直しは2回まで可能です。振り直しの際、いくつかのダイスの絵柄は保持した状態で、それ以外のダイスだけを振り直すことが出来ます。
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 上の写真の場合、ピザショップ2つとキャンディトレイン1つを保持したままで、残り2つだけを振り直し、左のタイルを狙っていくことが出来ます。振り直して、キャンディがあと1つ出れば左のタイルを取得することが出来ます。

 3.ダイスの絵柄を確定したら、その絵柄で取得出来るタイルを選択します。どのタイルとも絵柄が一致していない場合、タイルを取得することは出来ません。
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 上の写真のように、2回振り直した上でどのタイルとも、1マスのタイルでさえも絵柄が一致していない場合、何も取得することが出来ないので、この手番は無駄になってしまいます。

 4.取得したタイルは個人ボードの好きな場所に、向きを自由に変えて配置することが可能です。タイルを配置したら次のプレイヤーの手番になります。1度配置したタイルは固定され、以降配置を変更することは出来ません。
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 誰よりも早く、全てのマスを隙間無くタイルで埋めることが出来たプレイヤーが勝利します。

2.個人的評価:4(10点満点)

 取り敢えず結論を言うと、余り面白くなかったです。家族や甥っ子と何回かしてみてもそこまで盛り上がりませんでした。何故余り面白くないと感じたのか、以下つらつらと書いてみたいと思います。
 まず、ソロプレイ感が強いということです。インタラクション(相互干渉)がないと言い換えることも出来ます。要するに、手番プレイヤーが行うことはそのプレイヤーにだけ関係があって、他のプレイヤーには関係がないのです。
 何故そうなるのかというと、ダイスの絵柄を次の手番に引き継げないということが大きいように感じます。引き継ぎ要素があれば、「次はあのタイルを取ろうと思ったからピザショップを2個引き継いだのに、取られたから意味がなくなっちゃったよ」みたいなやりとりが出来たと思うのです。
自分が狙っていたものを相手のせいで取れなくなってしまったというような要素が少しでもあれば、プレイに活気が出るのになと思いました。
 次に、ゲーム性が単調ということが言えます。何故単調に感じるかというと、タイルの絵柄がどのように変化したとしても、それに意味がないからです。ダイスの引き継ぎがない以上、手番の状態に合わせてダイスを振るだけで、タイルの絵柄が一つに染まっていようとバラバラになっていようと関係がないのです。
 更に言えば、メリハリがありません。メリハリがあるゲームというのは考えるときと考えないときの差がしっかりしているのですが(『ワイルドバイキング』など)、『タイニーパーク』は考えるときしかないのです。そこまで深いゲーム性のないキッズゲームの場合、常に考えているだけだとテンポも悪くなり、面白さを感じにくくなってしまうと個人的には思います。
 それから、視認性が良くないということがあります。アトラクションの絵は細かく描いてあって可愛くはあるのですが、淡い絵柄のためか若干見づらく、私の母や甥っ子は「えーと、これは・・・」と言いながら絵柄を判別していました。絵柄に関して言えば、リメイク前の『ミイラのたからもの』の方が見やすいと思います。
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(すごろくやの画像を転載)

 慣れてくればそこまで気にならないとは思いますが、慣れるまではテンポの悪さがより強くなってしまう気がします
 そして、個人ボードの出来上がりが余り綺麗にならないということも言えると思います。これは私の弟の意見なのですが、タイルの置き方が自由なこともあって、
適当にアトラクションが並んでいるだけの乱雑な遊園地にしかならないと言うのです。何かを作り上げるゲームには『キングドミノ』『ビッグシティ』がありますが、これらは配置に制約やボーナスを付けることで、整った王国や街が出来るように工夫がされています。ルールが複雑化しない範囲で、見た目が綺麗な遊園地が出来上がるような、何かシステムに工夫があれば良かったと思います。
 以上4つの点から私は余り面白くないと感じました。ただ、一応良かったことも挙げてみたいと思います。
 まずは、ダイスを5個まとめて振れるのが楽しいということです。普通の双六では1個、多くても2個ぐらいですから、いっぺんに5個も振れるというのは中々に新鮮です。5歳の甥っ子も「どうして1回で5個も振るの!」とルールを聞いて驚いており、プレイ中もじゃらじゃら振るのが楽しそうでした。
 次に、ダイスを自分で作れることです。正確に言うと、無地のダイスにアトラクションの絵柄が印刷されたシールを貼って自分でダイスを作り上げていくのですが、これが子供には楽しいのです。甥っ子が「一緒に貼って」と言うので、2人で半分こずつ担当してやりましたが、「上手に貼れた!」「何でそんなに早く貼れるの?」など話しながら楽しく作業することが出来ました。自ら作り上げることで、自分のゲームという思いが深くなり、愛着も強くなるのではないかと思います。シールには予備が1セット付いているため、子供が貼り間違えたときも安心です。キッズゲームならではの、こういう配慮は嬉しいですね。
 それと、他人に干渉されないということは、自分の好きなように好きなペースで進められるということなので、邪魔合戦が嫌いな人には寧ろインタラクションがないというのは良い点になるかも知れません。
 これら良い点もあるにはあるのですが、周りの反応からしても面白いと言えるゲームではなかったので(最初は笑っていた甥っ子も、何回かすると少し微妙な表情をしていました)、評価は4点ぐらいが妥当かなと思います。
 
3.『タイニーパーク』の入手方法(2020年7月時点)

 日本Amazon、楽天市場では2000~3000円位で販売されています。駿河屋には中古を含めて取り扱いがありません。他のボードゲーム専門店の通販サイトものぞいてみましたが、在庫なしのショップが多かったです。すごろくやの販売ページに「絶版」と表記があるので、今は販売している店舗でも在庫限りで今後の追加はなさそうです(すごろくやでは通販在庫「残少」)。
 海外から個人輸入する場合、独、米Amazon共に13~18€位(2000円弱)で購入出来ますが、送料を足すと22~37€位(3000円弱~5000円弱)になり、国内より割高になってしまいます。
 言語依存についてですが、文字はなく、全てイラストで表現されているので、説明書以外に言語の心配はありません。ルールも複雑ではないので、日本語説明書が付属していない並行輸入品を購入しても問題ないと思います。説明書欠品の中古を買った場合、メーカー公式HPに原語版説明書がPDF公開されていますので、説明書の内容が気になる方はそちらを参照されればと思います。

おわりに
 
 何というか、私が見た目に惹かれて買うと、思ったよりも面白くないことが多いんですよね。見た目で面白そうと期待しすぎているのかも知れませんが。一応買う前に何となくルールも読んではいるのですけど、実際にやってみないと本当に面白いかどうか判断するのは私にはまだ難しいです。
 ただ、こうした私には面白くないゲームをするということも最近は面白いなと感じています。当たり前のことですが、私には面白くなくても面白いと感じる人はいるわけで、Twitterなどには面白かったという感想もたくさん上がっています。私はインタラクションがないのが不満でしたが、面白いと感じる人はどこを見て面白いと感じているのか、それを考えるのも楽しいです(家族からは面白くないゲームに付き合わされる身にもなれと言われますが)。最近はソロプレイ感のあるゲームが多いようですし、人に邪魔されずに自分の好きなように箱庭を作れる、自分の世界に浸れるという意味でこのゲームに魅力を感じているのかなあと想像したりしています。インタラクションがっつりというのは時代遅れという話も聞きますしね。
 まあ、そんなわけで、要は人それぞれという訳なのですが、良い点の最後で述べたように、他人に干渉されずに自分のペースで進めるのが好きな人なら十分に面白いゲームなのではないかなと思います。