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はじめに


 りば工房さんは最近たくさんのリツイートキャンペーンを行われているのですが、その中の1つ「ギリギリワード2」のキャンペーンに見事当選することが出来ました。
 折角頂いたからと思い早速プレイしてみたのですが、これが思ったより面白かったです。何が面白かったのか、このゲームの良いところは何か、気になったところはあるか、簡単にではありますが書いていきたいと思います。



この作品のデータ(クリックすると開きます)
タイトル 独:Giri girl word 2
米:Giri girl word 2
日:チームでヒント対決!ギリギリワード2
デザイナー Toshiki Arao
(荒尾 俊樹)
アートワーカー Nakata Hisa
(ナカタヒサ)
メーカー Ateam
(Aチーム, 日)
日本語版発売元 Ateam
発売年 2021年4月10日
(ゲームマーケット2021春)
プレイ人数 3~8人
公称プレイ時間 約30分
対象年齢 10歳以上
定価 1680円
購入価格 0円(送料無料)
2021年4月、りば工房さんのプレゼントキャンペーンにて
ルールブック 2ページ
受賞歴 なし
個人的評価 8点(10点満点)

1.ルール概要

 『ギリギリワード2』は、味方にだけ分かり、相手には分からないでろうギリギリのヒントを出すことで、お題カードの獲得を目指していくゲームです。3人からプレイ可能ですが、通常とは少しルールが異なるので、ここでは4人以上のプレイについて説明したいと思います。まず、チーム分けです。どちらのチームも複数人になるようにチームを作ります。そして、最初のヒント出題者を決めてゲームスタートです。

ルール詳細(クリックすると開きます)
 出題者はお題カードを山札からめくります。お題カードには1~5のヒントと答えが書かれているのですが、今回の問題となる番号は、山札の上を見ることで決まります。
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 お題カードは表面にヒントと答えが、裏面に数字が書かれています。山札の一番上にある数字が、今回出題するヒントと答えになるのです。この写真で言えば、山札の上が4なので、ヒントが学校、答えがランドセル、を出題することになります。
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 出題者は答えの部分を隠した状態で、味方チームのメンバーに答えのヒントを見せます。相手チームには見せません。

 それから口頭で、追加のヒントを出していきます。このヒントは味方も相手も聞くことが出来ます。つまり、味方はヒント1つ分得した状態で新たなヒントを聞くことが出来るということです。この時出すヒントは文章でも単語でも良く、特に条件の縛りはありません(明らかな嘘をつくことだけは禁止)。
 味方は追加のヒントをいくつか聞き、答えが分かった段階で「ストップ」と宣言します(宣言されるまで、出題者は新たなヒントを出し続けています)。ここから回答の時間です。回答は先に相手のチームから行い、正解なら今回のお題カードを獲得し、不正解なら味方チームに回答権が移ります。味方チームも不正解となった場合は、引き分けではなく、相手チームがお題カードを獲得します(回答権は各チーム1回のみ)。まとめると以下のようになります。

相手チーム:先に回答。正解するか、双方のチームが不正解ならお題カードを獲得。
味方チーム:後に回答。正解することでのみお題カードを獲得。

 回答が終わったら、相手チームに出題者が移ってヒントを出す時間が再び始まります。これを繰り返していき、どちらかのチームがお題カードを5枚獲得したらゲームは終了です。
 なお、制作元であるAteamの公式説明動画がYouTubeに上がっていたので、それもここに貼っておきます。この動画は前作である1の動画ではありますが、お題が異なるだけで基本ルールは同じなので、ルール把握に支障はないと思います。



2.プレイ風景


 2021年4月30日(金)自宅にて父、母、弟、私の4人でプレイ。プレイ時間はインスト込みで30分ほど。
 プレゼントキャンペーンで頂いたギリギリワード2、珍しく父がやる気になってくれたので、家族4人で遊んでみました。最初は私と弟、父と母の組み合わせでやってみましたが、私たちが5-0で完勝してしまったので、組み合わせを私と父、母と弟に変えて2回戦。今度は4-4ともつれ、そして迎えた最終戦。
 弟が1つめに出したヒントは「砂漠」、それだけで母がストップ宣言。「砂漠」だけでストップ出来る見えないヒントは何なのか。父と相談し、見えないヒントが「動物」だったと想定し「ラクダ」と答えるものの不正解。母が「ピラミッド」と答え、「そっちかー」「あー負けたー」と思ったものの、まさかのそれも不正解。笑いながら崩れ落ちる弟。答えは「サボテン」で、隠れたヒントは「尖ったもの」でした。母は「砂漠で尖ってると言ったらピラミッドでしょ」「緑とか多肉植物とか言ってくれないと」と、弟にブーブー抗議していました。

 5月5日(水)自宅にて再び4人でプレイ。前回とは違う組み合わせということで、父と弟、母と私の組み合わせ。今回はヒント、回答共に説明書準拠のタイマーを使いました(ヒント3分以内、回答1分以内)。
 すっかり父が気に入ってくれたようで、1回終わるとすぐに「もう1回しようか」と言ってきていました。今回も様々な名ヒント、珍ヒントが飛び出したので、いくつか紹介したいと思います。

①出題者:弟、見えないヒント「オカルト」、公開ヒント「ギャンブルのいかさま」
 答え:透視(ギャンブルのいかさまの「通し」と音が同じだから)
 「ギャンブルのいかさま」と聞いた時、まず思ったのは「通し」でした。でも、「通し」という答えはないだろうと思ったので、「通し」=「サイン」かな、それか「サイコロ」かな、と考え、母と相談し「サイン」と答えました。結果違いましたけど、惜しかったですね。

②出題者:父、見えないヒント「尖っている」、公開ヒント「おーいお茶」「ちゃぶ台」「面白くない」「旦那」「木枯らし」「夫」
 答え:爪楊枝(旦那や夫だから妻。木枯らし紋次郎が爪楊枝を咥えてる。面白くない=「つま
らない。ちゃぶ台に載ってそう。「おーいお茶」と「妻「用事を頼んでる。)
 最初ヒントを聞いていて何を言っているのかさっぱり分かりませんでした。弟も同じだったようで、「何言ってるの」と言って笑い転げていました。「木枯らし」のヒントで「紋次郎」かなとは思いましたが、紋次郎が爪楊枝を咥えていることまでは知りませんでした。母が知っていたので、正解出来ましたが、終わった後の解説を聞いても「分かるわけないじゃん」と弟に突っ込まれていました。ひねりすぎですね。

③出題者:私、見えないヒント「辛い」、公開ヒント「ミャンマー」「人の名前みたい」
 答え:トムヤンクン(とむやん君)
 これはちょっと勘違いがあって、トムヤンクンはミャンマー料理でなくタイ料理でした。ちょっと自信なかったんですよね。正解してくれた母に感謝です。「人の名前みたい」のヒントで、父と弟は「タージマハル」と言ってきたので、少しでも料理っぽさがあったら正解されていたかも知れません。ちょっと危なかったです。

④出題者:父、見えないヒント「ファッション」、公開ヒント「アルファベット」
 答え:Tシャツ(Tが入ってるから)
 「アルファベット」だけだと私はさっぱり分かりませんでした。言われてみればなるほどです。
 なお、制作元であるAteamの公式プレイ動画がYouTubeに上がっていたので、それもここに貼っておきます。説明動画と同様に、前作である1の動画ではあることはご了承下さい。


3.個人的評価:8(10点満点)

 いや、実に面白かったです。一緒にプレイした家族からの評判も上々でした。良い感じのヒントを出そうと頭をこねくり回している時間、チーム内であーだこーだ相談し正解を導き出そうとしている時間、どちらもとても楽しいです。似たようなゲームには『コードネーム』や『トラップワード』など色々ありますけど、それらと違い、カードを捲るだけで始められる手軽さが良いですね。余分なコンポーネントを省き、カードだけでゲームが完結しているという所に、『サンファン』に似たシステムの美しさがあるように感じます。『コードネーム』はヒントに単語しか出せないという縛りがあるのですが、これは単語でも文章でも良いので、自由度が高くプレイしやすいです。『トラップワード』のようなテーマ的な味付けがないのも、ファンタジーなどに抵抗感がある人にとってはとっつきやすく良いと思います。
 
山札の番号でお題が決まるというのも地味に良いです。『テレストレーション』のように一々サイコロを振ってお題を決めるなどする必要がなく、プレイのテンポが損なわれません。お題の言葉にそんなに難しいものがないというのも、分かりやすくて良いと思います。それと、お題カードの獲得の仕方も良いです。相手が先に回答する関係上、簡単すぎるヒントは出せないようになっています。良い感じのジレンマです。また、1問1問必ずどちらかはお題カードが獲得できるようになっているので、勝負が無駄に長引かないのも良いところです。お題カードは50枚あり、1ゲーム当たり最大でも9枚しか使いません。更に、1枚には5つのお題があるので、総お題数は250,それが、山札の番号でランダムにどれになるか決まるので、本当にいくらでも遊べます。『ディクシット』などと違い、何回か遊んでいてもお題にマンネリ感が感じられないのです。実に凄いことだと思います。
 気になる点は、
ヒントや回答に長考するとテンポが悪くなることでしょうか。相手が考えている間はただ待っていることしか出来ないので、それが長いとちょっと間延びした感じになってしまいます。ただ、それには仕方がない面もあって、このゲーム、適切なヒントを真剣に考えると結構考え込んでしまうのです。
 例えば答えが「桜」、隠れたヒントが「植物」だったとしましょう。出されたヒントが「花見」だとすると、味方は「植物」で「花見」なら「桜」だなと分かってストップ出来るわけですが、このヒントだと相手も「桜」に辿り着く危険があります。「花見」という言葉だけで「桜」が連想出来るからです。よって、「花見」は適切なヒントとは言えません。出すヒントは、隠れたヒントと結びつかなければ答えに辿り着かないようなヒントが望ましいのです。
 この例で言えば、「ブルーシート」とかでしょうか。これだけだと何のことやら分かりませんが、「植物」というヒントを見ていれば、植物にブルーシート、つまりお花見、それなら桜か、と連想し、味方はストップを宣言することが出来ます。他のヒントだと、「死体」でも良いですね。「植物」で「死体」なら梶井基次郎の小説『桜の樹の下には』を連想し、「桜」に辿り着けるかも知れません。で、そんな風に適切なヒントを出そうと考えると長考してしまうのです。『ラミィキューブ』でより適切な組み合わせを探そうと長考するのと似た感じかも知れません。
 そういう訳で、
説明書にあるようにタイマーなどを使って時間制限を設けるのがテンポ良くプレイするために望ましいと思います。もし思うように時間内にヒントが出せなくても、例え、1つもヒントを言うことが出来ずに時間が終わっても、どちらも答えられなければ相手チームに得点が入るようになっているので、ゲームが止まることはありません。ここら辺は本当に上手い仕組みです。
 他の気になる点としては、弟から
ヒントと答えの組み合わせが微妙なものがあるという意見がありました。ヒント「ファンタジー」に対し、答え「ゾンビ」、ヒント「オカルト」に対し、答え「透視」などです。まあ、「ゾンビ」はどっちかというと「オカルト」じゃないかなとは思いますが、ここら辺の受け取り方は人それぞれでしょうね。
 私がちょっと気になったのは長考しやすいということぐらいで、個人的に他に気になる点はありません。これもタイマーを使って時間制限すれば解決出来ます。全体的にシンプルに出来た良いゲームだと思います。


4.『ギリギリワード2』の入手方法(2021年5月時点)

 
日本Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、駿河屋などでは取り扱いが見当たりません。私が探し切れていないのかも知れませんが、現時点ではりば工房さんでのみ販売が確認出来ます。
 1と2のセットも販売されており、こちらは10%割引されるようです。
 りば工房さんは送料全国一律370円ですが、5000円以上送料無料という良心的な価格設定なので、他のショップに比べると無料にもし易いのではないかと思います。

おわりに

 私はボードゲームに関しては外国かぶれの権威主義なので、国産同人ボードゲームは殆ど買ってきませんでした。今回頂かなければ、『ギリギリワード2』をプレイすることもなかったのではないかと思います。そのため、言い方があれかも知れませんが、国産ゲームにもちゃんとこんなに面白いゲームがあるということを知れたのが今回の大きな収穫でした。国産のパーティーゲームは、一番良い感じの回答に投票みたいに、その場の雰囲気とか何となくの感じで勝敗が決まるのが多いというイメージがあったのですが、このゲームはちゃんとしたルールで勝敗が決まります。その時点で非常に好感が持てました。現時点では余り販売が広がっていないようですが、こうしたちゃんとしたゲームがもっと多くの方に手に取られ、広まっていけば良いのにと心から思います。このレビュー記事が、微力ではありますがその一助になれば幸いです。