はじめに
2020年11月、ボードゲーム界隈のTwitterを大いに賑わせていたものがありました。それがuchibacoyaさんによる『アクアガーデン』のキックスターターです。
uchibacoya@uchibacoyaキックスターターと言われてもよく分からず、自分には関係のない、遠い世界のことのように感じていたのですが、当時の界隈の熱気に感化され、私は人生初のキックをしてしまいました。思わず宣伝記事も書いていました。【AquaGardenのKickstarterについて】
2020/11/11 10:19:09
プロジェクトは、11/15(日)のお昼頃に開始予定です!
期間は30日、目標金額は1,500,000円で、ストレッチゴールは1000%まで100%刻みで9つ用意しています… https://t.co/z07j4KzdvA
そしておよそ9ヶ月後の2021年8月、遂にキックした『アクアガーデン』が我が家へとやって来たのです。
ボードゲーム感想備忘録@boardgame999魚駒を見せて「可愛いでしょ」と聞くと「可愛い」「思ってたより見た目が良いね」など家族からの評判も良かったです。それからしばらくプレイの機会がなかったのですが、先日ようやくプレイすることが出来ましたので、良いところ、気になったところ含めて早速レビューしていきたいと思います。木製の駒用に小袋も用意していたのですが、最初から種類ごとに小分けされていました。こういう心遣いは嬉しいですね。上蓋の裏に魚のシルエットが描かれているのもオシャレで良い感じです。4人まで遊べる『AQUa Garden』と2人用の『T… https://t.co/P2dX020Y5K
2021/08/20 19:38:46
この作品のデータ(クリックすると開きます)
タイトル | 独:Aqua
Garden 米:Aqua Garden 日:アクアガーデン |
デザイナー | Chuou
Totsuka (戸塚 中央) |
アートワーカー | Sai
Beppu (別府 さい) urabe rocinante (ウラベロシナンテ) |
メーカー | uchibacoya (うちばこや, 日) |
日本語版発売元 | uchibacoya (うちばこや, 日) |
発売年 | KS:2020年11月15日 一般:2021年9月4日 |
プレイ人数 | 1~4人 |
公称プレイ時間 | 約40~60分 |
対象年齢 | 15歳以上 |
定価 | KS:4770円 一般:6500円 |
購入価格 | 6360円(拡張込セット)+1300円(送料) 2020年11月、KSにて |
ルールブック | 16ページ |
受賞歴 | なし |
個人的評価 | 6点(10点満点) |
1.ルール概要
ある街に水族館が出来ました。しかし、出来たばかりで魚が1匹もいないので、オーナーは魚を仕入れに行くことにしました。他の水族館のオーナーも魚が欲しいと思っているので、仕入れは早い者勝ちです。何とか魚を手に入れることが出来たら、オーナーはスタッフに連絡します。スタッフは水族館の水槽を歩いて見て回り、どこに入れるか考えるのが仕事です。ここに入れよう、とすぐに決まることもありますし、必要な物が足りないと思って、海草などを買い足してから入れることもあります。時にはオーナーが仕入れてきた魚を入れる場所がどうしてもなく、泣く泣く海に帰すこともあります。新しい水族館にはお金がないので、オーナーは時に広告を出し、スタッフは時にイベントを行い、お金を稼ぎます。水族館の経営は大変です。
ちょっと物語調で始めてみましたが、『アクアガーデン』は大体こんな感じで、自分だけの水族館を造り上げるボードゲームです。このゲームは説明書が16ページもあり、文字もたくさん書いてあるので一見ルールの把握が難しそうなのですが、理解してみるとそう難しいルールではありません。『アクアガーデン』の骨子となる部分は、
①オーナーが魚を獲得する
②スタッフが水槽に魚を入れる
③お金を貯めたりマイルストーンカードを達成するなどして勝利点を稼ぐ
の3つだけです。
ルール詳細(クリックすると開きます)
ゲームの舞台となる場所は魚を仕入れる共通ボード、仕入れた魚を水槽に入れる個人ボード、魚や海草を買い付ける共通の海ボードの3つです。共通ボードではオーナーが、個人ボードではスタッフが活動します。
では、まずオーナーの仕事から紹介しましょう。共通ボードから魚を仕入れるのがオーナーの仕事ですが、その方法は双六です。共通ボードの外周にあるマス目を時計回りに進み、オーナーが止まったマスに置いてある魚駒を獲得することが出来るのです。
ただ、普通の双六とは違い、ダイスを振って移動するわけではありません。自分の好きなマスまで移動することが出来るのです。ゴールまでいきなり移動することも出来ます。ただし、スタートからゴールに向かってしか移動出来ない、つまり一方通行なので、通り過ぎたマスに戻ることは出来ません。ですから、移動は慎重に行う必要があるのですが、共通ボードには他のプレイヤーのオーナーもいるので、他のオーナーに取りたい魚を先に取られないように気をつける必要もあります。
この双六の特異性はダイスを使わないことだけではありません。手番が順々に回ってこないのです。じゃあ、順番はどうなっているかというと、ゴールから1番遠い人が常に手番をするようになっています。ゴルフで旗竿から1番遠い人がプレイするのと同じようなものです。そのため、欲しい魚があったからと余りに先行してしまうと、他のオーナーにたくさん行動されてしまいます。先に取られないように気を付けつつ、行きすぎないよう自重することが求められます(下の写真の白プレイヤーは、ジンベイザメは取れましたが、他のプレイヤーに追い抜かれるまで行動が出来ません)。
全てのオーナーがゴールした後は次のラウンドになり、全てのマスに布袋からランダムに引いた魚駒を1つずつ置いていきます。取られずに残っている場所があっても追加の魚駒は置かれるので、そこに止まれば1回で2匹貰えます。『アグリコラ』のようなルールですね。
では次にスタッフの仕事を紹介しましょう。共通ボードでオーナーが仕入れた魚を個人ボードの水槽に入れていくのがスタッフの仕事ですが、その方法も双六のようなものです。個人ボードのマスに沿ってスタッフを移動させ、魚を入れる水槽を決めていくのです。スタッフはオーナーと違い、1~3マスの間で移動することが出来(お金を払うことで+1~2も可能)、移動後のスタッフが隣接する2つの水槽のどちらかに魚を入れることが出来ます。
この魚を入れる時、共通の海ボードから、魚や海草を買い付けて追加で入れることも可能です(海ボードにあるものはどれでも購入可能。全て2金)。
魚を水槽に入れるときには気を付けることがいくつかあるのですが、その1つが酸素量です。魚は呼吸に酸素を必要とするため、水槽に供給されている酸素量以上に魚を入れることが出来ないのです。水槽の供給酸素量は4で固定のため、4を超えないように魚を入れる必要があります。
ただし、光合成して酸素を生み出す海草を入れることで、酸素量を+2することが出来、そうなると消費酸素量が6になるまで魚を入れられるようになります。
もう1つ気を付けるのは魚同士の相性です。クマノミと鮫など、捕食関係にある魚は同じ水槽に入れられないのです。海亀は海草が入っている水槽にしか入れられないという縛りもあります。
こうした制約が守れない場合、折角魚を仕入れても水槽に入れることが出来ないので、仕入れた魚か既に水槽に入っている魚を、泣く泣く共通の海ボードに帰さなければなりません。そうならないように、仕入れた魚を入れることが出来る水槽までスタッフを移動させるようにしておきましょう(ルール上は入れられないときだけでなく、いつでも好きな魚を好きなだけ海に帰せるみたいです。ご指摘があり追記しました)。
より効率的に勝利点を稼ぐ方法は、指定された組み合わせで水槽に魚を入れることです。『アクアガーデン』にはマイルストーンカードと呼ばれるお題カードがあります(全12枚、1ゲームで4枚だけ使用)。
このカードに指定された魚の組み合わせで水槽を作れると、ボーナス点が貰えるのです。1番最初に作れたプレイヤーには追加ボーナスで色違いの魚駒が無料でプレゼントされます。とっても美味しいので、積極的に達成を狙っていきましょう。
魚以外では、ゲームが終わったときにお金を多く持っていたり、最後のラウンドで早くオーナーがゴールしたりしても勝利点が貰えます。
お金の稼ぎ方にも触れておきましょう。共通ボードからの仕入れと違い、共通の海ボードからの買い付けやスタッフの追加の移動にはお金が必要です。お金はオーナーが共通ボードの広告マスに止まったり、スタッフが個人ボードのイベントアイコンを通過したりすると貯まっていきます。
ただ、広告にしろイベントにしろ、指定の魚を集めていないとお金があまり貯まらないようになっているので気を付けましょう。
以上が『アクアガーデン』の大体のルールです。細かいところは省いてしまいましたが、何となくは伝わったでしょうか。ちなみにこれは3~4人プレイのルールで、1~2人プレイの時は少しルールが異なるようですが、ここでは割愛させて頂きます。
もっと正確なルールが知りたい場合は公式の説明書が公開されていますので、こちらをご確認下さい。それと、公式の説明動画もあるので貼っておきます。
uchibacoya@uchibacoya【アクアガーデンのルールについて】
2021/08/13 22:46:51
サンゴも海藻も、海からの追加購入アクションで2金で購入できます!サンゴについての記載はこちらのルールブックから確認をお願いいたします!
https://t.co/HArZTWBvzA
uchibacoya@uchibacoyaJapanese board game video creator,
2020/11/12 08:57:43
Himituri ( @bg_himitsuri ) made a How to Play video.
He created it in a one-ti… https://t.co/Pux9qAcxTp
2.プレイ風景
2021年8月26日(木)自宅にて母(灰)、弟(白)、私(緑)の3人でプレイ。プレイ時間はインスト込みで1時間30分ほど。
家族からの評価はちょっとあれでしたが、私は結構楽しかったです。水槽をレイアウトするのも楽しいですし、オーナー駒をどこまで進めるか、実に悩ましい時間を過ごせました。1つ1つ良かったところを見ていってみましょう。
第1はやっぱり可愛い魚駒でしょうね。種類もたくさんあるし、駒の形も魚に合わせてくりぬかれてあるので、本当に見ているだけで楽しくなります。そして、その魚たちを自分の水槽に好きなように配置することが出来るというのが、また実に良いですね。水槽に入れられる上限が酸素量で決まっており、肉食のサメと小型魚などが共存出来ないなど、妙にリアルな仕組みも魚好きとしては嬉しいです。マイルストーンを達成すると手に入る色違いの魚駒も一般の駒と効果が変わることは無いですが、水槽のちょっとしたアクセントになって良い感じです。
それと、駒の両面ともイラストされているお陰で、魚を向かい合うように配置出来るのもとても良いです。何か会話してるみたいですよね。
皆がマイルストーンを目指すと似通った水槽ばかりになりそうですが、各魚駒には上限があり、イベントカードの指定魚もそれぞれ違うため、ゲーム終了後には各プレイヤーの個性、というかゲーム展開が反映された水槽が出来上がるようになっています。そのため、終わったあとお互いの水族館を眺めるのも中々乙です。こんな感じになったんだーと見ていて楽しいです。
ゲーム性としてはマイルストーンを巡る戦いが熱いです。必要な魚が遠くにある場合、すぐに取りに行くことも出来ますが、後ろのプレイヤーに抜かれるまで何も出来なくなってしまいます。ゆっくりたくさん行動するか、さっさと進むかのジレンマを味わえます。
ルール的には1番後ろの人が手番というのが、今誰の手番かが分かりやすくて良いですね。我が家でプレイしていると、今誰の番だっけとなることがたまにあるのですが、このルールだとそれがありません。あと、水槽に入れられない魚駒を取ったときは海に帰せるというルールも分かりやすくて良いなと思います(ルール上は入れられないときだけでなく、いつでも好きな魚を好きなだけ海に戻せるようです。ご指摘があり追記しました)。
一方、『アクアガーデン』の気になる点ですが、自分の水槽を好きなように作れるとは言っても、勝利点の組み合わせや酸素量の制限もあり、実際はそこまで自由に作れないということが挙げられます。弟が指摘したように、海草をたくさん入れて魚を大量に入れた水槽が作れても楽しかっただろうなと思いますし、ジンベエザメを2匹入れた水槽も酸素量の問題で出来ませんけど作ってみたかったです。また、クマノミだけじゃ1点にもならないため、クマノミだけの水槽は作れるけど作れません。結局は勝利点を目指した水槽を作ることになります。それと、水族館には珊瑚だけの水槽もよくあると思うのですけど、『アクアガーデン』ではルール上1つの水槽には1つの珊瑚しか入れることが出来ないので、珊瑚水槽は作りたくても作れません。こういった様々な制約が少しだけ残念だったかなと思います。まあ、全て自由ではなくある程度の縛りがある中でやりくりするのが楽しいと言えばそうなんですけど。
後は、ジンベエザメが最初の方にあり、共通の海ボードにも置かれていた場合、1人のプレイヤーに2匹とも取られてしまうので、そうなるとゲームバランスがどうかなというのがあります。3人プレイだとジンベエザメは2匹しかいないので余計にです。そんなに頻発する事態ではないと思いますが、1回だけそういうことがありました。これにジンベエザメが必要なマイルストーンカードまで出てきて、第1ラウンドのスタートプレイヤーにそれをされてしまうと中々厳しい気がします。
ジンベエザメみたいなある種特殊な魚は、酸素量が5必要みたいに、1手目からは取れないとかの仕組みがあれば良かったのにと思います。
それと、ラウンド開始時に袋から魚駒を引くときに、駒の形で何の魚か分かってしまうというのもありますが、これはそこまで問題になる要素ではないと個人的には感じています。袋から引いた駒を個人ボードに置くとかなら盲牌は大問題でしょうけど、置く場所は共通ボードですから、例え偏った駒、鮫ばっかりとかが置かれたとしても、そこまで影響はないんじゃないでしょうか(私の理解不足かも知れませんが)。影響があるとすれば、スタートプレイヤーが袋から引いて、欲しい魚駒を1マス目に置いて、それを誰にも邪魔されずに自分で取るという場合だけかと思いますが、袋から引くプレイヤーを最後手番の人にするなどすれば解決出来る気がします。後は最初に手に触れたものを出すようにするぐらいですかね。一応、Twitterでは様々な改善案が出されていたので、それもここで紹介しておきます。
ろーるろーる@RoooleRooollAqua Garden(アクアガーデン)、むじゃきな子どもも、紳士的な大人も、お魚は手づかみじゃなくてアミやタモでそっとすくってあげたら、きっともっと楽しいよ https://t.co/5TbOPdkWZJ
2021/08/19 21:19:57
たじまこ@tajimako0627#アクアガーデン
2021/08/22 23:17:29
袋から箸で掴み取ったら存外ランダムに配置できました。
少々手間にはなりますが、箸で取り出す魚たちもかわいくて楽しいです🦈💞
次は拡張いれてあそぶ!
ギョラミット大変だった🔼 https://t.co/jVbDocyPyB
てつ@イカ釣りたい@pro_hunter_gさて、私が個人的に感じたことはこれ位で、評価は6点ぐらいです。元々私が魚好きなので多少好意的に見ている面もある気はしますが、駒は可愛いですし、1回プレイすれば把握出来るややこしくないルールで、そこそこの悩ましさも味わえる。ちょっと淡々としたプレイ感の気はしますけど、良いゲームじゃないかなと思います(書き忘れてましたが、得点ボードはあった方が良かったです。最終決算が少し面倒なので)。オルレアンで使って余ってた大量の20mmコインケースにエーワンのラベルシールを貼付け。
2021/08/30 22:34:00
アクアガーデンの基本魚駒の盲牌問題を解決。
#AquaGarden https://t.co/HDe9wwGhSZ
日本Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、駿河屋などでは取り扱いが見当たりません。将来的に販売する予定があるのかは分かりませんが、現時点ではuchibacoyaさんでのみ販売ページが確認出来ます(9月4日予約受付開始)。
uchibacoyaさんは送料1000円~、購入金額により無料になることはありません。ちなみにメルカリやヤフオクに出品されているのも見かけますが、17000円以上の高値で取引されているのが殆どなので余りお薦めしません。絶版ならともかく拡張含めてもうすぐ一般販売されますからね。キックスターター限定の拡張が欲しいという方が購入されるのかも知れませんが、次回のキックスターター(『Ostia』とか?)のアドオン等で購入出来るようにするらしいので、そこで購入された方が良いのではないかと思います。
uchibacoya@uchibacoya@mumio_bg 屋外拡張、次回のキックスターター時にアドオンなどで購入できるようにする予定です!
2021/09/03 10:15:39
人生初のキックスターターであり、初の国産中量級ボードゲーム購入となった『アクアガーデン』、個人的にはそこまで低い評価ではないのですが、家族からの評価が低いのが悩みの種です。お陰で再プレイが出来ません。まだそんなにプレイ回数を重ねられていないので、これから印象が変わるかも知れないんですが。基本だけだと物足りないという話も聞きますし、上級ルールや拡張を入れてのプレイも是非してみたいと思います。今のところ誘ってもやりたくないと言われるので、家族のやる気が戻ってきたら、今度は甥っ子も入れてやってみたいです。それが出来たときは、上級ルールと拡張についてのレビューを追記する形か別記事になるかは分かりませんが、書いていきたいと思います。
最後にTwitterの紹介を。ゲーム内容とは直接関係ありませんが、魅力的な魚駒で皆さん色々な遊び方をされているようでして、印象に残ったのをここに掲げさせて頂きます。積むのは楽しそうなので、今度試してみたいと思います。
塩辛@ikashionocoアクアガーデンでスイミー作りました
2021/08/24 23:16:25
🐟🐟🐟
#ボードゲーム #アクアガーデン
#aquagarden https://t.co/rEn6x66LNz
ひみつり@bg_himitsuriアクアガーデン届いた!!
2021/08/18 22:12:42
魚コマ可愛い!
そして、届いたらまずやりたかった、全ての種類の魚コマを1つずつ使った非公式バランスゲーム!←
【イカに乗る】
めちゃムズだったけど、
映えるー!(*⁰▿⁰*)
正しいルールで遊ぶの… https://t.co/wjNSsdstrk
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