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はじめに


 人生初のキックスターター(以下、KSと記述)で購入した『アクアガーデン』、基本ルールで家族と遊んだのですが、余り評判が良くなかったです(その時の様子は下記事参照))。

 ただ、この時プレイしたのは基本のルールだけで、基本セットに入っている上級ルールや、拡張セットを入れてのプレイはまだ出来ていませんでした。そんなある日、久しぶりに遊びに来た6歳の甥っ子が魚の木駒に興味を示してくれたので、念願だった上級ルール+拡張込みで『アクアガーデン』をプレイすることが出来ました。
 というわけで、ようやくプレイ出来た上級ルールと拡張について、やってみて感じた良いところ、気になったところについて書いてみました。何かの参考になれば幸いです。

『アクアガーデン』のKSについての記事はこちら



この作品のデータ(クリックすると開きます)
タイトル 独:Aqua Garden
米:Aqua Garden
日:アクアガーデン
デザイナー Chuou Totsuka
(戸塚 中央)
アートワーカー Sai Beppu
(別府 さい)
urabe rocinante
(ウラベロシナンテ)
メーカー uchibacoya
(うちばこや, 日)
日本語版発売元 uchibacoya
(うちばこや, 日)
発売年 KS:2020年11月15日
一般:2021年9月4日(予約開始)
プレイ人数 1~4人
公称プレイ時間 約40~60分
対象年齢 15歳以上
定価 KS:6360円(拡張込セット)
一般:6500円(基本)+1500円(拡張02)+1500円(拡張03)+2860円(The arctic)=12360円
(拡張01と、上級駒のタカアシガニ、ハリセンボン、マンボウはKS限定)
購入価格 6360円(拡張込セット)+1300円(送料)
2020年11月、KSにて
ルールブック 16ページ
受賞歴 なし
個人的評価 7点(10点満点)

1.ルール概要

 ある街に出来た水族館、いつもと違う魚を仕入れてみようとオーナーが考えています。ただ、どれも特別な魚たちなので、展示するにはお金がちょっと掛かります。イベントをしたり、広告を出したりして、頑張ってお金を稼がなければなりません。
 またある日のこと、オーナーは水族館の屋外に新たな水槽を作りました。屋外の水槽に入れるのは魚1匹だけです。その魚は水族館の目玉として、お客さんをたくさん呼んでお金を稼いでくれます。海から仲間の魚や海草や珊瑚を呼ぶなどして、水族館の水槽を賑やかにしてくれたりもします。オーナーにとって心強い味方です。

 ゲームの基本となるルールは前回のレビューで説明してしまったので、今回は上級ルールと拡張のルールについてのみ簡単に説明したいと思います。
 これらの骨子となる部分は、
①広告マスで上級駒が購入出来るようになる
②1ラウンドに1回、何らかの資源(お金や魚など)が貰えるようになる
の2つだけです。

ルール詳細(クリックすると開きます)
 まずは上級ルールについて説明しましょう。上級ルールを導入すると、お金が貰えるだけだった広告マスに新たな役割が加わります。オーナーがそこに止まることで、上級駒が買えるようになるのです(止まったときに出来る行動はお金を貰うか、上級駒を購入するかどちらか1つだけ)。
拡張1
 基本の魚駒はマスに止まることで無料で手に入れることが出来ていましたが、上級駒はその種類に応じて1~8のお金を払わなければ手に入れることが出来ません(価格の隣に書いてあるのは消費酸素量です)。
拡張 2
 ただ、その分これらの駒には基本の魚駒にはない特殊な能力が備わっています。その能力の殆どは勝利点に関するものですが、堅実に勝利点を稼いでくれるものから、上手くいけば大きく稼いでくれるロマン溢れるものまで様々です。
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 中にはマイルストーンの達成を手助けしてくれるものや、お金を稼ぎやすくしてくれるものなどもあります。
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 これら多種多様な上級駒たちは、原則としてどの水槽にも置くことが出来ますが、同じ水槽の中に同種の上級駒は基本1匹しか置くことが出来ません(コバンザメ、ラッコ、ホタテ、ペンギンは配置や匹数の例外あり)。入れる水槽はスタッフの位置に関係なく、好きな水槽に入れることが出来ます。マイルストーンを1番に達成したときに貰える色違いの魚と同じような扱いです。

拡張 4
 『アクアガーデン』本体に入っている上級駒は3種類だけですが、拡張を全て購入すると15種類の上級駒で遊べるようになります。説明書で慣れない内は上級駒は3種類だけ使うことがお勧めされているので、全て使うだけでも5回はプレイ出来る計算です。今日はどんな組み合わせで遊ぼうかと考えるだけで楽しくなりそうですね。
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 ところで、『アクアガーデン』には現在、拡張01、02,03,『The arctic』、KS特典の合計5つの拡張的要素があるのですが、基本的にはどれも上級駒が入っているだけで、ゲームに新たなルールを提供してくれるわけではありません。
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 しかし、唯一毛色が違う拡張があります。それが拡張01,屋外拡張です。と言うわけで、屋外拡張について説明しておきましょう。この拡張には上級駒とは別に、屋外拡張駒と屋外拡張カードが入っています(シロクマだけは『The arctic』同梱)。
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 これらはイベントカードと同じように、各プレイヤーがゲームを始める前に受け取るものです。そして、ゲームが始まると、1ラウンドに1回だけ、そのカードに書かれた特殊な効果を使うことが出来るようになります。カードには2つの効果が書かれていて、1つは1金獲得する効果、もう1つは資源(魚or海草or珊瑚)を手に入れる効果です(上段のオレンジ色の文字部分)。
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 そのどちらかの効果を1ラウンドに1回、つまり3人プレイなら1ゲーム中に3回、4人プレイなら1ゲーム中に4回使うことが出来ます。更に、これらのカードにはゲーム終了時に勝利点を加算してくれる効果も付属しています(下段の青色の文字部分)。
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 要するに、ゲームのプレイを楽にしてくれる、プレイヤーお助け的拡張ということです。ちなみに、屋外拡張駒は水槽には入れず、カードの効果を使ったらそれをカードの上に置くことで、もうその効果はこのラウンド中には使えませんということを示すためだけに使います。
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 さて、以上で『アクアガーデン』の上級と拡張の大体のルール説明は終わりです。もっと正確なルールが知りたい場合は公式の説明書が公開されていますので、こちらをご確認下さい(後半に上級ルールについての説明が載っています)。


2.プレイ風景

 2021年9月15日(水)自宅にて弟(緑、イルカ)、6歳の甥っ子(白、鯨)、私(灰、シャチ)の3人でプレイ。プレイ時間はインスト込みで1時間30分ほど(4人でしようと思ってセッティングしていたが母は不参加)。
 今回袋引きは全て甥っ子が担当しました。「好きなのを引きないと言うと、袋の中にガサゴソ手を突っ込んで、楽しそうに引いています。
「これはクマノミ」
「これは鮫だと思う。あれ、ジンベエザメだ」
「あ、またこれだ。石鯛ばっかり」
など話しながら引いていました(マスにオーナーが入り込んでますが、まだ始まってないのでゲームには関係ないです)。
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 スタートプレイヤーは私。マスを見てみると4匹目にジンベエザメがいます。いきなりそこまで行くのは先行しすぎじゃないかなと思いました。思いましたし、頭では分かっていたのですが、ジンベエザメには不思議な魅力があるんですよね。結局、その魅力に抗えずジンベエザメを獲得してしまいました。
 結果、甥っ子と弟はゆっくり1歩1歩後ろを進んでくるので、中々私の番がやって来ないことになりました。こうなるのは分かっていましたけど。
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 甥っ子は初プレイだったので少し心配していたのですが、ルールを結構理解していて、自分から広告マスに止まって上級のコバンザメを購入したり、
後半のマスにいたジンベエザメを鯨の特殊能力(自分の水槽の魚と共通ボードの魚を交換出来る)で石鯛と交換したりしていました(弟がちょっとアドバイスはしていましたけど)。鮫ばっかりではありますが順調そうです。
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 弟は海亀やクマノミがいて、カラフルで綺麗な水族館になってます。
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 で、私はと言うと、見事にがらんどうな水族館で、ジンベエザメと石鯛が1匹ずつしかいませんでした。やはり、最初に先行したのがまずかった。おまけにイベント水槽も空っぽなのでお金もありません。このままじゃまずいと終盤に掛けて魚を集めたのですが、増えたのは石鯛とコバンザメだけ。弟に比べるとなんとも地味な水族館です。
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 一方弟は、終盤になると海亀が4匹になってカラフルさが更に増し、広告で5金、イベントで3金取れる体制も整えています。
共通の海ボードに初期配置されていた魚たちも、資金力に物を言わせた弟に殆ど買い占められてしまいました。
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 お陰で私のシャチの特殊能力(共通の海ボードから魚を1匹取れる)がほぼ死に体です。取り敢えず、最後に残っていた鮫を共通の海ボードから貰って第1ラウンド終了となりました。
 このままじゃまずいなあと思いながら始まった第2ラウンド。
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 第1ラウンドの反省から、今度は1歩1歩慎重に進んでいきます。その間に弟はクマノミと石鯛と海亀のマイルを、甥っ子は鮫のマイルを達成。
 私はクマノミが全然袋から出て来ないこともあってイベント水槽が機能しておらず、資金繰りが実に厳しい。殆ど弟に取られてしまいましたが、もっとちゃんと海亀を集めておけば良かったです。
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 そんな中、弟は全てのマイルを達成。その内、1番目に達成したのが3つもあります。
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 お陰で色違いの魚もたくさん貰えて、第2ラウンド半ばとは思えない充実ぶりです。
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 もう勝負が見えてしまっている気もしますが、まだ甥っ子との2位争いが残っているので頑張ります。
 そして最終ラウンド。
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 共通ボードがクマノミまみれです。クマノミが出ないなあとは思っていたのですが、ここまで偏っているとは思っていませんでした。クマノミが必要な私にとってはやっとのご登場です。ようやく私の水槽もカラフルになってきました。
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 甥っ子や弟はクマノミがあんまり必要でなかったため早上がりしており、私はゆっくり魚を集めることが出来ました。

 そして決算。それぞれの出来上がった水槽は以下のようになりました。
弟68点。
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甥っ子39点。
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私50点。
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 やっぱりというべきか、弟が圧倒的1位でしたが、私も結構点を伸ばすことが出来ました。最初の体たらくを思えば十分上出来です。石鯛を多く集めていたので、後半のクマノミ大出現の際にセットをたくさん作ることが出来たのが効いたのだと思います。
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各人の感想
甥っ子:僕負けると思ったよ。

弟:
やっぱりごちゃごちゃしてるなあとは思うが、広告に上級駒という意味が出来たから、マスをジャンプする意味が出てきたのは良かった。基本よりかは戦略性がある。ただ、中だるみもあるしプレイ時間がゲーム性を考えると長い。色々考えることがあるのでダウンタイムも長く感じる。中盤ぐらいで勝ちが見えたのもあって、まだかなあと思ってプレイしていた。前回も言ったけど、マイル達成で魚が貰えることによる、勝つ者が更に勝つ問題は感じる。木駒がたくさんあると盤面がごちゃごちゃしてしまい、どこを見れば良いか分かりにくくなり、動かす駒がどれか探してしまうのも少し気になる。
 水槽の魚を海に帰してそれを再び買い直すというテーマ的に謎の行為、オーナーを動かしてからスタッフを動かすという疑問の行動順など、ルール的には子供でも出来そうなのに無意味に複雑になっている。甥っ子も行動順に混乱して、スタッフを動かさずに魚を入れようとすることが何度かあった。そもそもスタッフのシステムがいらないんじゃないか。スタッフの移動が煩わしくて楽しさが半減されている気がする。システムを『東海道』式にするんじゃなくて、ワーカープレイスメントにした方が面白かったとも思う。

3.個人的評価:7(10点満点)

 やっぱり家族からの評価はあんまり良くありませんでしたけど、念願の上級ルール+拡張のプレイ、私はプレイ出来て良かったと思います。
上級ルールによって基本になかった色々な魚たちを水槽に入れることが出来るようになりましたし、お金が重要になったことで戦略性も増したように思います。もう少し詳しく良いところを見ていきましょう(『アクアガーデン』の基本的な内容に関するレビューを知りたい方は前回記事を参照して下さい)。
 第1に触れたいのは、
勝ち筋が多様化したということです。基本のルールだと、勝利点を稼ぐ方法は4つ(魚を水槽に入れる、マイルストーンカードを達成する、お金持ちになる、早くゴールする)がありましたけど、基本的にはマイルストーンの達成が肝になっていました。そのため、基本のルールでは水槽の中身はプレイ毎に変われど、目指すことは毎回同じで、それが少々淡々としたプレイ感やゲームの深みのなさに繋がっていた気がします。ですが、それが上級駒の登場で少し解消されました。マイルストーンが重要な得点源であることは変わりませんが、
上級駒がそれに代わるほどの勝利点を生み出してくれるからです。場合によっては1駒で10点以上の勝利点を生み出してくれます。
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 また、勝利点を生み出すだけではなく、水槽の酸素量を増やしたり、イベント水槽やマイルストーンをサポートしてくれる上級駒もいます。これらを活用することによって多種多様な戦略が取れるようになり、戦い方がマイルストーン一辺倒ではなくなったのです。これはとても良いことだと思います。
 また、上級駒の登場に伴って、お金の重要性が上がりました。これまでお金の使い道は2つだけ(共通の海ボードからの購入とスタッフの追加の移動)でしたが、これに上級駒の購入が加わったからです。
 それと、
自分から水槽の魚を海に帰すことの意味も大きくなりました。上級駒は酸素消費量が多い生物が結構いるので、水槽に入れている魚を海に帰して得点効率の良い上級駒と入れ替えるというテクニックが必要になる時があるからです。
 そして、上級駒を購入するには広告マスに止まらないといけないので、
広告マスの重要性も増しました。共通ボードには4マスしか広告マスがないので、他のプレイヤーに止まられたら大変です。よって、他のマスを飛ばして広告マスを目指すという動機が生まれ、基本より次のラウンドで魚駒が積み重なる可能性も出て来ました。基本ルールでプレイした際に、正直私は
お金、海に魚を帰すというアクション、広告マスが勝つために余り重要でないと感じていたのですが、ほんの少しルールを足すだけで、これら全ての要素に大きな意味づけをすることが出来ている、本当に凄いなと思いました。
 上級駒を導入することで、基本ではなかった様々な魚駒を使えるようになるというのも勿論良い点です。ダイオウイカやハリセンボン、ラッコなど見ているだけで楽しくなる、独特な形をした駒も多く、見ていて飽きません。
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 水槽には入りませんが、屋外拡張カードの駒も5種類あります。合計すると20種類もの駒が増えるのです。1つ1つ駒が凝っていて触っているだけで楽しいです。甥っ子も駒が気に入っていて、プレイ中に自分の鯨で弟の魚を「パクパクパクパク」と食べたり、オーナーを鯨に乗せて共通ボードのマス目を移動させたりしていました。子供を惹き付ける、思わずゲームとは関係なく遊んでしまいたくなる魅力がこれらの駒にはあるのだと思います。
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 一方気になる点ですが、上級駒を手に入れる機会が少ないということがあります。上級駒を手に入れる方法は原則広告マスに止まったときだけなのですが、広告マスは共通ボードに4つしかありません。そして、オーナーの進み方の関係上、誰かが止まったマスには他のオーナーは絶対止まることが出来ません(1番後ろの駒から進むため、広告マスに止まったオーナーが1番後ろになるまで、そのオーナーはそこから動かない)。そのため、1ラウンドの間に全てのプレイヤー合わせて4回しか購入の機会がないのです。その上、本来の役目である資金獲得にも広告マスが使われることも考えると、上級駒が購入される回数は4回よりも少なくなります。その限られた機会を如何に活用するかが腕の見せ所だとは思うのですが、上級駒が手に入らないと基本のルールと殆ど変わらなくなってしまうので、個人的にはもうちょっと上級駒が手に入りやすいと良かったかなと思います。一応、屋外拡張のシロクマを使うと購入機会が増えますけどね。
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 2つ目の気になる点は、袋引きの偏りです。前回のレビューで、袋引きで偏りが生じたとしても、ゲーム性に大きな影響はないのではないか(スタートプレイヤーが恣意的に引かない限り)と書いたのですが、今回結構大きな影響があるなと考えを改めるに至りました。それはイベントカードに関してです。
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 マイルストーンカードは全員共通の目標なので、魚に偏りが出たとしても全員に同じ影響があるだけだと思うのですが、イベントカードは各プレイヤー毎に内容が異なります。そのため、例えばクマノミが必要なのに、偏りによりクマノミが中々出て来ないとなると、そのプレイヤーだけがとてもつらいことになるのです。今回のプレイ記が正にそれで、クマノミが終盤に固まっていたため、私はイベント収入を余り得られませんでした。イベント収入が望めないなら広告収入で賄えば良いのですが、上級駒の関係で広告マスが人気になっているため止まること自体が難しく、広告収入を得るのも大変です。
 今回の袋引きは甥っ子が全て担当したのですが、甥っ子は袋の中に手を入れて、どれにしようかなと楽しそうに引いていました。恐らくその時に、手に取りやすい大きな駒を掴んでしまうことが多く、小さなクマノミが終盤に固まってしまったのだろうとも思ったのですが、Twitterを見てみると、子供が引いていなくてもクマノミが終盤固まったという意見は見られるので、
子供が引いたから起こってしまったことではなく、結構普遍的な問題なのだと思います 最初に手に触れた物をそのまま引くようにしていた前回はここまでの偏りは見られなかったので、ゲーム性を担保するためにはそれを徹底するしかない気がします。しかし
、そういう解決策があるにはせよ、何が出るか分からない中でガサゴソガサゴソ探る、これだ!と思って引く、それが袋引きの醍醐味だと個人的には思っているので、偏らないように気にしながら引かなければならない、思うままに引くことが出来ないというのは少々窮屈にも感じます。大人ならともかく、子供は好きなように引きたいでしょうしね。ただ、uchibacoyaさんのnoteによると、袋引きはカードで代用する案もあったけれど、「最終的な値段に大きな影響があるのと、楽しさが少し損なわれたのであえてそのままにしました」とあるので、プロジェクトの中で出来る範囲ではこれが最善だったのだろうと思います。

 袋引きに関しては前回Twitterの改善案をいくつか載せましたが、他にも様々な方法や考え方が上がっていたので紹介しておきます。皆さん色々工夫されているみたいですね。
 他の気になる点は、拡張01以外は基本的に上級駒が増えるだけで、たくさん拡張はあってもゲームシステム的には殆ど変化がないということがあります。上級駒を変えることによって戦略や気分は変えられますけどね。基本にはない新たな水槽が追加されてそこに魚を入れられるようになる、そういう拡張があっても良かったなと思います。
 それと、好きな駒を1番最初に取れる関係上、『アクアガーデン』は第1ラウンドのスタートプレイヤーが少しだけ有利なゲームです。この優位性を解消するルールは特にありません。一応、屋外拡張には最後手番から自分が使うカードを選ぶようにするというルールがあるので、そルールを採用することで、スタートプレイヤーの優位性を多少解消出来る気はします。屋外拡張を持っていない場合は、イベントカードを同じ方法で選ぶようにしても良いかもしれません。
 さて、個人的評価ですが、基本より1点上がって7点です。上級駒を使うことによってゲームに深みが増し、基本だけより確実に面白くなっているからです。上級ルールは『アクアガーデン』本体だけで楽しむことが出来るので、そこまでルール負荷が増えるわけでもありませんし、出来れば最初から導入して楽しむことをお薦めします。
 拡張についてですが、
基本的には上級駒が増えるだけですから、まずは『アクアガーデン』本体だけのセットで遊んでみて、上級ルールが合うなと思った人は購入すれば良いと思います。新しいシステムが提供される屋外拡張は、現時点では購入出来ませんしね。

4.『アクアガーデン』の入手方法(2021年10月時点)

 
日本Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、駿河屋などでは基本、拡張共に取り扱いが見当たりません。一応『The arctic』は駿河屋で中古の取り扱いならありますが(10月12日点で2310円)、『アクアガーデン』の拡張カードはKS後から追加された物なので、この中古品にそれが含まれているかは分かりません。これを除くと、基本も拡張も現時点ではuchibacoyaさんでのみ販売ページが確認出来ます(9月4日予約受付開始。『The arctic』は現在欠品中)。
 
 uchibacoyaさんは商品により送料320円~購入金額により無料になることはありません。なお、メルカリやヤフオクに出品されているのもよく見かけますが、20000円以上で落札されている物が結構あり驚きます。基本と拡張(02,03)を合わせて購入しても10000円にもならないので、わざわざ定価より高値で購入せずにuchibacoyaさんから購入するのをお勧めします。
 なお、欠品中の
The arctic』とKS限定特典(ラウンドマーカーのチンアナゴと上級駒のマンボウ、ハリセンボン、タカアシガニ)は現時点では購入方法がありませんが、同じKS限定の拡張01は次回のKS(『Ostia』とか?)のアドオン等で購入出来るようにするみたいです。

おわりに

 最後に個人的な思いを1つ。『アクアガーデン』の1番の魅力は魚駒だと思います。甥っ子がこのゲームに付き合ってくれたのもこの魚駒があったからこそです。それを考えると、今でも十分シンプルなルールだとは思うのですが、
もう少し子供でも楽しめる簡単なルールで、『アクアガーデン』を遊んでみたかったなと思いました。甥っ子はゲーム慣れしてるから出来ましたけど、普通の子供には難しいと思うんですよね。勿論、『アクアガーデン』が15歳以上対象なのは知っているんですが、折角子供受けしそうな中身をしているので、惹き付ける素材はあるのに出来ないというのは勿体ないなあと感じてしまうのです。別にそこは目指していないと言われそうですが、uchibacoyaさんの木駒のクオリティで子供向けにデザインしたゲームを作れば、日本のHABAになれる可能性だってあると思うんです。短時間で簡単だけどしっかり楽しめるゲーム、それこそ袋引き且つ木駒を使っている『リスのタルトやさん』のようなキッズゲームもありますし、そういった子供向け或いはファミリー向けのゲームを、uchibacoyaさんがいつか作ってくれないかなあと勝手に思っている次第です。

(2021年10月24日追記)
個人的評価を6点から7点に変更しました。